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連携パスと微量アルブミン尿検査
2本柱でCKDの早期治療を目指す

竜崎 崇和先生

社会福祉法人恩賜財団済生会支部東京都済生会
東京都済生会中央病院
副院長 腎臓内科部長
竜崎 崇和先生

人をつなぐ 医療をつむぐ

 自覚症状が出にくい慢性腎臓病(CKD)の重症化予防では、いかに早期に発見して適切な治療に結び付けられるかが重要です。

 今回は、東京都済生会中央病院(東京都港区)の副院長で腎臓内科部長を務める竜崎崇和先生に、港区の腎臓専門医がいる基幹病院やかかりつけ医、医療スタッフなどで立ち上げた「みなとCKD連携の会」のCKD連携パスについてお聞きしています。さらに、港区で新たに開始する、通常の健康診断では拾い出せない初期の糖尿病性腎症への早期介入に向けた「港区微量アルブミン尿検査」についてもお話を伺いました。

東京都港区におけるCKD連携パスとその取り組み

紹介元の考えを引き出しやすく使い勝手を重視した診療情報提供書

― 竜崎先生は、前職の川崎市立井田病院(川崎市中原区)に勤務されていた頃から、CKD連携パスの作成に取り組んでこられたそうですね。
竜崎先生 はい。私は、都会こそ地域連携パスの構築が重要だと考えています。地方では、中原区や港区とあまり変わらない人口規模であっても、腎臓専門医がいる病院が1つしかない場合があります。その病院が連携パスを作れば、周辺の病院やクリニックはそれに対応するでしょう。ところが、港区のような都会には腎臓専門医のいる基幹病院が複数ありますから、もしそれぞれが連携パスを作ると、開業医の先生方は病院ごとに使い分けなければなりません。患者さんの紹介から紹介元に戻っていただくまでの流れが円滑に進むよう、共通の連携パスが必要です。
 前職時代にも、地域の先生方とともに中原区のCKD病診連携パスを構築しました。当院に赴任してからは、港区の腎臓専門医のいる基幹病院※1やかかりつけ医、医療スタッフなどによるネットワークシステム、「みなとCKD連携の会」を立ち上げ、中原区のものをベースに地域連携パスを作成し、運用しています。

※1 北里大学北里研究所病院/国際医療福祉大学三田病院/山王メディカルセンター/東京都済生会中央病院/東京慈恵会医科大学附属病院/虎の門病院/JCHO 東京高輪病院 (2020年12月現在)

― CKD連携パスの特徴を教えてください。
竜崎先生 もっとも力を入れたものが、かかりつけ医から専門医への「診療情報提供書」です。紹介状の中には、検査結果と「よろしくお願いします」とだけ書いてあって、具体的に何をしてほしいのかがわからない場合があります。そこで、記載に時間がかからない簡潔な体裁を心がけるとともに、先生方のお考えや意思を的確に聞き出せる診療情報提供書になるように工夫をしました。
 まず、専門医に何をしてほしいかを伝える「紹介目的」の設問です。回答は、今後の治療方針が知りたい、患者教育や食事指導をしてほしい、腎障害の原因を知りたい、または検査をしてほしいなど、あらかじめ設定された項目から選んでチェックを入れられるようにしています。また、CKDの評価後の診療をどう進めたいかについても、「今後の希望」として、自院で診療したい、併診で進めたい、CKDについては専門医で加療、全面的に腎臓専門医で加療などの回答欄を設け、率直にお考えをお聞かせいただけるようにしました(図1の②)。
 さらに、診療情報提供書の最新のバージョンには、2018年のCKD診療ガイドライン※2に基づいて作成した、専門医への紹介基準の表を掲載しました。その患者さんが専門医に紹介すべき状態かどうかをこの表で確認し、該当する部分に○印を付けていただいています。新たな紹介基準を明確に伝えるとともに、紹介時以外にも参照していただける資料の役割も果たすことが掲載の狙いです。
 現時点では、ご自身のクリニックの電子カルテに連動した紹介状フォーマットの方が慣れているためか、この診療情報提供書を持って来院する紹介患者さんの割合は高いとは言えません。もちろん、ご紹介いただければ形式は問わないのですが、使いやすいものになっていますので、便利に活用していただけるようにアピールに努めていきたいと思います。

※2 「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」 編集:日本腎臓学会 発行:東京医学社

図1 ■ 港区のCKD連携パスの流れ

蓄尿や腹部超音波検査など専門医のやるべき診療もパスで確認

― 専門医からかかりつけ医に返す「CKDクリニカルパス」(図1の④)についても教えていただけますか。
竜崎先生 CKDクリニカルパスには、専門医が紹介患者さんに行うべき診療項目を明記しました。たとえば、「蓄尿」や「栄養指導を予約」という項目がありますが、これらは一般的な開業医が行うのは難しいため、専門医がデータを出していかなければなりません。
 なかでも、腎後性腎不全を否定するために「腹部超音波検査もしくはCT」の項目を設けたことは特徴の一つです。腎後性腎不全は手術等で治る可能性がありますが、蓄尿検査や尿検査、血液検査だけでは専門病院でも見落とす危険があります。ガイドラインには入っていないのですが、病院間で申し合わせの上、記載項目に組み込みました。
― 連携パスの運用が進めば地域の先生方との関係も深まっていきますね。
竜崎先生 はい。優秀な開業医の先生方との関係ができることによって、「あの先生に頼んだら大丈夫だろう」と逆紹介の増加につながるのではないかと期待しています。WIN-WINの関係性ができるのも、都会でCKD連携パスを活用するメリットの一つではないでしょうか。
 みなとCKD連携の会では年に2回、研修会を行っています。連携パスの改訂点の説明や、事前に集めたCKDに関する質問への回答などとともに、CKDの重症化予防に取り組んでいる全国の先生方に講演もお願いしています。また、コロナ禍でもできるだけ多くの先生に参加していただけるよう、会場とオンラインを併用するハイブリッド形式の開催も取り入れました。前職時代からこれまで、活動の一環として行っている、腎臓専門医以外の先生方を対象としたCKDに関するアンケートを見ると、CKDの定義や紹介基準などの理解は年々高まっています。こういった変化に、みなとCKD連携の会の取り組みがより貢献できるよう、今後も地域の先生方や医療スタッフと話し合いながら、CKD連携パスの運用を進めていきます。

記事作成日:2021年3月

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