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~いわき市におけるCKD医療連携の取り組み~

川口 洋 先生

公益財団法人ときわ会
常磐病院 名誉院長

川口 洋 先生
(腎臓内科医)

杉 正文 先生

いわき市医療センター
副院長

杉 正文 先生
(循環器内科医)

木村 守和 先生

一般社団法人いわき市医師会
会長

木村 守和 先生

種田 嘉信 先生

医療法人たねだ内科クリニック
院長

種田 嘉信 先生
(糖尿病内科医)

人をつなぐ 医療をつむぐ

 CKD患者は、循環器系疾患のリスクが高いことが知られており、近年ではCardio-renal syndrome(CRS:心腎症候群)が注目を集めています。双方向性の複雑な関係がある心機能と腎機能のリスクを軽減するには、かかりつけ医と専門医の連携と専門医同士の連携が重要になることは言うまでもありません。
 そこで今回は、福島県いわき市の腎臓内科医、循環器内科医、糖尿病内科医、そして医師会会長の4名をお招きし、いわき市内のCKD医療のあり方についてお話をうかがいました。

福島県いわき市における、CKD重症化予防

CKD重症化予防が注目されてきた背景といわき市における取り組みについて

川口先生 2002年に米国腎臓学会(ASN)の場でK/DOQI(NKF:National Kidney Foundation)にて提唱されたCKD という概念は、国際腎臓病ガイドライン機構のKDIGO(Kidney Disease Improving Global Outcome)によるガイドラインが策定されたことを機に、その概念が世界中に広がりました。国内では、2004年に日本腎臓病学会が慢性腎臓病対策小委員会を設立し、2006年には厚生労働省が中心となり、CKDから透析に至る患者の削減を目的とした慢性腎臓病協議会が立ち上げられました。その後、2007年~2009年にKDIGOの分類に相応したCKD診療ガイドが日本腎臓学会から発刊されています。
 重症化予防を急がなければならない理由のひとつに、患者数の増加があります。CKD患者数(GFR<60mL /分/1.73m2)は、全人口の約17%に相当する約1,300万人に達しており、循環器系疾患(心筋梗塞や脳梗塞等)のリスクも高いことから、かかりつけ医から腎臓病専門医への紹介基準の明確化や循環器専門医と腎臓専門医の連携の重要性が、2012年の「CKD 診療ガイド」(日本腎臓学会)で指摘されています。
 近年では、2016年に日本医師会、日本糖尿病対策推進会議、厚生労働省の3組織が連携協定を結んで「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」が策定されました。また、2018年7月には「腎疾患対策検討会」の報告書がまとめられ、病期に応じた腎疾患対策が公表されています。そして「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」が、日本腎臓学会によってまとめられました。
 CKD患者数は高齢化に伴い、今後も増え続けます。改めてかかりつけ医からの紹介基準を明確化して、最終的には腎疾患対策検討会報告書に示された「2028年までに、年間新規透析導入患者数を3万5,000人以下に減少させる」という成果目標の達成に向けて尽力したいと思います。
 私達は、2010年に今の常磐病院に以前から同法人のいわき泌尿器科でCKDの食事療法、とりわけ蛋白制限療法に積極的に取り組んできました。そんな中、JCHO横浜中央病院(当時・社会保険横浜中央病院:海津先生)の「腎機能改善外来」で、CKD患者の蛋白制限療法に対するチーム医療展開していることを知り、2006年に当院の管理栄養士や看護師の研修を依頼しました。その後当院でも多職種で構成するチーム医療を基盤とした、厳格な食事療法中心のCKD特別外来を開設しました。その後海津先生を中心として「CKD チーム医療研究会」が設立されました。またCKD患者の重症化予防には、腎臓専門医とかかりつけ医、管理栄養士などの多職種連携が有用であることを示したFROM-J研究(2008年~2013年)にも、当院から専門医と管理栄養士を参加させていただきました。
 さらに2014年には、いわき市で開業されている先生方と「いわき市CKD医療連携の会」を立ち上げました。2012年のCKD 診療ガイドラインに掲載されている紹介基準を参考にして、かかりつけ医とのCKD治療の円滑な連携構築を確立しようと試みましたが、残念ながら不成功におわっております。専門ではないかかりつけ医にCKDに興味を持ってもらい、今後は専門医との連携の重要性を理解してもらうために行政や医師会の介入は非常に重要で積極的介入をお願いしたいと考えております。

図1:CKDの重症度分類

図1:CKDの重症度分類
木村先生 川口先生にこれまでの連携の状況についてご指摘いただきましたが、尿中アルブミンをしっかりと検査し、ガイドラインが定めている専門医への紹介基準をベースにして、患者さんを専門医に早めに紹介することを医師会としても行うべきだと痛感しました。
 福島県では糖尿病重症化予防に関する研修会「福島ストップDiabetes講習会」(糖尿病重症化予防講習会)を、県内6地区で全6回実施しています。ベーシックコースでは、病態と診断▽合併症▽糖尿病治療▽療養指導▽医療連携(チーム医療)―などを学びます。今年度以降はアドバンスコースも並行して実施する予定です。
 さらに、いわき市では「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」にも取り組んでいます。
 イメージ図(図2)のように、かかりつけ医と専門医の連携が必要であることは言うまでもありませんが、未受診者・中断者に対しては、いわき市の保健師が支援に入ります。保健師は、(1) 対象者の選定、(2) 未受診者・治療中断者に対する受診勧奨、(3) ハイリスク保健指導対象者を医療機関へ情報提供、(4) ハイリスク者に対する保健指導、(5) 保健指導結果報告―などを行います。
 いわき市が糖尿病治療中断者への受診勧奨を行い、かかりつけ医が診察して保健指導の必要があれば市側に指示します。糖尿病連携手帳に記載された保健指導の実施結果を、かかりつけ医が確認する流れです。2019年度は38名に保健指導が実施されました。

図2:糖尿病性腎症重症化予防のための保健・医療強化イメージ図

図2:糖尿病性腎症重症化予防のための保健・医療強化イメージ図
杉先生 循環器専門医の立場からみても、CKDの患者さんが非常に増えているのを実感しています。CKDは高齢化に伴って悪化するため、20年前から診ている80歳代の患者さんの中にCKDを併発している患者さんが少なくありません。内科系の先生の中には、少しくらいヘモグロビン(Hb)が低くても許容範囲だと判断されることがあります。しかし、循環器内科からすると、低いHb値を放置することは心不全が起きるのを待っているようなものです。腎機能の低下が懸念されるケースであれば、積極的にエリスロポエチン製剤を使って治療する必要があります。心疾患と腎疾患はお互いに切り離せない関係ですが、根底にはPolyvascular Disease(全身性動脈硬化性疾患)があるため、包括的な管理が求められています。
種田先生 私は糖尿病専門医として啓蒙活動に力を入れています。患者さんの中には糖尿病に罹っているのに自覚していなかったり、放置しているケースが非常に多く見受けられます。そのため、木村先生が先ほどご紹介された「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」のような取り組みが重要になるわけです。勤務医時代には、地域の開業医の先生から腎症3〜4のステージで紹介していただくことがあり、早期の介入が遅れてしまった患者さんが多いと感じることが少なくありませんでした。糖尿病を早期に発見して治療することで合併症に苦しむ患者さんを一人でも多く減らしたい、そういう思いで開業し、メディアにも積極的に露出しています。できるだけ早い段階で介入・啓蒙していけば合併症に苦しむ患者さんを減らすことができると確信しています。

記事作成日:2021年4月

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