慢性腎臓病

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ONE TEAMで挑む、腎臓のトータルマネジメント
~いわき市におけるCKD医療連携の取り組み~

川口 洋 先生

公益財団法人ときわ会
常磐病院 名誉院長

川口 洋 先生
(腎臓内科医)

杉 正文 先生

いわき市医療センター
副院長

杉 正文 先生
(循環器内科医)

木村 守和 先生

一般社団法人いわき市医師会
会長

木村 守和 先生

種田 嘉信 先生

医療法人たねだ内科クリニック
院長

種田 嘉信 先生
(糖尿病内科医)

人をつなぐ 医療をつむぐ

CKD患者教育の意義と、ALLいわきで挑む今後の目標

患者教育の重要性について

川口先生 当院では、患者さんに腎臓病との付き合い方を習得していただくことで、腎臓機能障害の進行を緩やかにし、人工透析導入までの期間を延長することを目的として2015年から医師、薬剤師、看護師、管理栄養士、MSW 等からなる腎臓病教育入院チームを立ち上げ、CKD教育入院を実施しています(図3)。基本は4泊5日のコースで、薬剤や栄養指導にはご家族にも同席いただいています。講義は、これまでに患者さんからいただいた声や質問を参考に当院オリジナルのパンフレットを作成して行っています。教育入院に参加された患者さんは、その後の腎臓機能、服薬アドヒアランス、食事療法の継続性に関して良い結果が出ています(図4)。
 ただ効果は高いのですが、独居の高齢者(男性)では教育した食事療法を守ることが困難なため、常磐病院では主にご家族がいる方を対象にせざるを得ず、残念に感じています。
 前述したCKD特別外来は、具体的には診察日の1週間前から2日前までの間、患者さんに「24時間蓄尿」と「食事記録」に取り組んでいただき、外来時に持参していただきます。その際に「採血」と「InBody」(体組成分の測定)、「血圧」や「体重」の測定も併せて行います。さらに医師の診察に同席していた管理栄養士が、塩分と蛋白質摂取の説明をマンツーマンで実施しています。2006年にスタートして累計約200人の患者さんを診ていますが、CKD特別外来に参加した患者さんは、透析導入のタイミングを遅らせることができています。

図3:CKD教育入院(スタッフ用)2017

図3:CKD教育入院(スタッフ用)2017

図4:CKD教育入院後のe-GFRの変化例

図4:CKD教育入院後のe-GFRの変化例
杉先生 本日の川口先生のお話を伺って、今後もいわき市においてCKD患者さんの連携に努めていく必要があると改めて感じました。患者教育の重要性については、新型コロナウイルス感染症の問題でも再認識しました。朝晩散歩していた患者さんがステイホームでほとんど動かなくなり、「体重が何キロ増えちゃった」と話されているシーンを外来でよく目にします。運動不足になれば当然ながら筋肉量が減って、糖尿病の患者さんの場合はHbA1cが悪化してしまいます。同時に血圧も上昇している患者さんが少なくありません。こういう方は、以前の生活に戻していただくように指導しています。誰もいない道でマスクをしながら散歩するのはナンセンスですから。
木村先生 いわき市では、医師を含む多職種が地域に出向いて講義する「いわき医療介護学校」を展開しています。特に医療や介護の資源が少ない地域の住民に、必要な知識を持っていただくことを目的として、毎月実施する1年間のプログラムです。杉先生がご指摘されていたとおり、新型コロナウイルスの影響で運動不足になり、状態が悪くなっている患者さんが数多くいます。私の地域・四倉町では密を避けながら「いわき医療介護学校よつくら塾」を開催していますが、私が講義した際には2020年4、5月に実施できなかったリハビリ専門職による運動指導を盛り込みました。このような集合的な患者(住民)教育に加え、いわき市として、YouTubeを活用して運動指導の動画を配信しています。
種田先生 最近の患者さんはインターネットやメディアから断片的な情報を数多く得ています。そのような患者さんにこそ、わかりやすく丁寧な説明をすることが大切だと考えています。
 例えばインスリンを導入するときに、体の中でどのようなことが起きているのか、インスリンを注射するとどのように体内を流れていくのか…というようにひとつひとつ丁寧に説明して、納得して治療に参加していただくように心がけています。説明には納得・理解していただいているのに「注射は嫌だ」という患者さんには、私や糖尿病療養指導士などの資格を持ったスタッフが不安や悩みをヒアリングして解決し、その上でインスリンを導入していただきます。そして、患者指導にはチームによる栄養指導が一番大切だと思います。あれもこれも食べちゃいけないという指導では、患者さんはついてきてくれません。「これくらいなら食べていいですよ」というように、ひとつひとつ説明して前向きに一緒に取り組んでいます。
 さらに当クリニックでは患者さんとのミーティングの場として、低カロリーでも美味しく食べられるフランス料理の会を定期的に開催していて、食べる喜びを感じながら食事療法に取り組んでいただいています。料理はプロのシェフにお願いして作っていただく特別メニューです。

今後の目標について

川口先生 成人男性の17%がCKDということは、いわき市には7万人もの患者さんがいることになります。この患者数をわずかな腎臓専門医だけで診ることはできません。循環器や糖尿病の専門医、そしてかかりつけ医との連携が不可欠です。「常磐病院に紹介してよかった」と言われるような紹介・逆紹介をしたいと思っています。
 日本腎臓学会の役員の先生が「CKD 診療ガイドラインは専門医のためのものではない」と指摘されていましたが、ガイドラインはかかりつけ医の先生方のためにあると思っております。診察室の見えるところに置いて活用いただけるように、情報提供を進めていきたいと思います。
杉先生 私は心疾患を中心に診察していますが、こちらも食事指導が重要です。特に塩分摂取に関してはCKDの食事指導と共通します。引き続き食事指導に力を入れながら、リハビリテーションも重要視していきます。先ほど、新型コロナウイルスの影響で患者さんの基礎代謝が落ちていることを話しましたが、心不全の進行予防にも効果がある心臓リハビリテーションの強化も、当科の課題だと感じています。
木村先生 SNSを活用した情報発信に加えて、医療従事者同士がオンラインで常時コミュニケーションできるような環境をつくり出す必要があると思っています。今まさに運動不足で病状が悪化してしまう患者さんのフォローを迅速に行うには、ICTを活用した多職種連携が重要になります。  いわき市医師会としては、CKDに対する意識を高めて早期に腎臓専門医に紹介できるように、診療レベルの向上を目指したいと思います。
種田先生 糖尿病専門医の立場で感じるのは、できる限り川口先生(腎臓専門医)や杉先生(循環器専門医)のお世話にならないように、早期の段階からしっかりと血糖コントロールを行っていくことが重要だということです。これまでどおり、患者さんの啓蒙活動を中心に早期発見・早期治療に努めていきたいと思っています。
 「最近、散歩していると息が苦しくなってきた」「体重が増えてきた」「足がむくんできた」――。そのようなちょっとしたサインを見落とさずに、必要があればレントゲン撮影を行い、BNPを測って心不全を診断します。糖尿病領域ではSGLT2阻害薬が広く使われるようになり、心不全、腎不全の進行を抑えることがエビデンスとして確立されてきたので、薬物療法も積極的に行っていきたいと思います。

記事作成日:2021年4月

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