慢性腎臓病は腎臓だけに注目しがちですが、腎臓だけでなく全身、特に心血管疾患の発症に影響を与えます。2型糖尿病を合併する慢性腎臓病患者は心血管疾患による死亡率が高いことから、心血管系と腎臓は密接に関係していることがわかります4,5)。また、慢性腎臓病の進展に関与する3つの要因はさらなる腎障害を招くことから、心血管疾患の発症リスクが上昇します。
腎機能評価には主に2つの検査が用いられます。
推算糸球体濾過量 (eGFR)11)
尿中アルブミン/クレアチニン比11-13)
心血管イベントには心筋梗塞、心不全、心臓突然死、脳卒中が含まれます13)。微量アルブミン尿はeGFRとは独立した心血管障害のリスク因子です14)。
慢性腎臓病に起因する腎障害は細胞レベルで発生するため、eGFRにより腎障害が明らかになる前に既に心血管系に影響を与えている可能性があります。CKD診療ガイド2012では定期的な腎機能検査や尿検査を行うことが望ましいとされており、KDIGO診療ガイドラインでは上記の2つの検査を毎年行うことが推奨されています。しかし、世界的にみて、尿中アルブミンを用いたスクリーニングの実施率は十分とはいえません11,12,15,16)。
KDIGO:Kidney Disease Improving Global Outcomes(国際腎臓病ガイドライン機構)
CKDの重症度は、原因(C)、GFR(G)、尿中アルブミン値(A)に基づくCGA分類で評価します11)
日本腎臓学会編, CKD診療ガイド2012. 東京医学社