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県民の腎臓を守る!
千葉県慢性腎臓病重症化予防対策

取材日:2021年10月6日

今澤 俊之 先生

国立病院機構千葉東病院
統括診療部長 腎臓内科
千葉県CKD重症化予防対策部会
部会長

今澤 俊之 先生

日比野 久美子 先生

真清クリニック院長
千葉県CKD重症化予防対策部会
副部会長

日比野 久美子 先生

淺沼 克彦 先生

千葉大学大学院 医学研究院
腎臓内科学 教授

淺沼 克彦 先生

寺脇 博之 先生

帝京大学ちば総合医療センター
第三内科(腎臓内科) 教授
腎センター長

寺脇 博之 先生

人をつなぐ 医療をつむぐ

千葉県では2017(平成29)年12月に千葉県糖尿病性腎症重症化予防プログラムを策定し、糖尿病性腎症の発症・重症化高リスク者に対し、受診・継続受診の勧奨および保健指導による透析導入の阻止や医療費適正化を図る取り組みを進めてきました。さらに、2020(令和2)年1月には千葉県慢性腎臓病(CKD)重症化予防対策部会を設置、CKD重症化予防についても取り組みを推進しており、2021年1月には、千葉県医師会・腎臓専門医による「CKD対策協力医」の養成・登録を開始、現在は県庁のホームページでも協力医リストを公開しています。かかりつけ医・医師会と腎臓専門医、そして行政が“挙県一致”で進める千葉県のCKD重症化予防対策について、一連の取り組みの背景や特徴、目指すべき将来像など、千葉県CKD重症化予防対策部会の先生方にお話をうかがいました。

全国に先駆け全域で取り組む千葉県のCKD対策
関係者全員の積極姿勢が追い風に

― 初めに、部会長の今澤先生から千葉県CKD対策の概要と経緯についてご解説ください。
今澤先生 2016年に糖尿病性腎症重症化予防対策プログラムが出され、各都道府県での実施が求められました。千葉県でも翌年にプログラムが策定され、2018年度からは健診結果に基づき抽出された糖尿病性腎症の高リスク者に対する保健指導や専門医への紹介が推進されました。一方、千葉県では2019年には腎硬化症が透析原因の第2位となりました。そして第3位は不明、すなわち、腎臓専門医による原因精査がなされないまま透析導入に至っていると考えられる新規透析患者が増えています。こうした現状に鑑みると、糖尿病性腎症対策だけでは十分とは言い難いことが分かります。また、CKDの重症化は心血管イベントの増加にも関連します。したがって、多くの県民がCKD重症化によりQOLを損なっていると考えられるのです。
 こうした状況は国全体でも同様です。2018年に出された厚生労働省腎疾患対策検討報告書では、健診でCKD患者を早期に抽出して受診勧奨し、かかりつけ医で適切なスクリーニングを行い、必要に応じて腎臓専門医と連携するとの対策が提示されました。2020年の政府の骨太方針にもCKDの予防および重症化予防を多職種連携により、いっそう推進するとの方針が掲げられています。
 このような流れを受け、千葉県では2020年1月、糖尿病性腎症重症化予防対策検討会の部会として、CKD重症化予防対策部会の設置に至りました。これは全国的に見ても速やかな対応であり、県庁の尽力に感謝しています。さらに、県医師会からも協力を快諾していただきました。関係者が積極的かつ前向きである点が、千葉県におけるCKD対策の追い風となっています。
 この部会には医師会、薬剤師会、保健所、糖尿病対策推進会議からも委員が参画し、2021年度から対策の実行を開始するという目標を持ち、討議を進めました。対策の骨子は図1の通りで、大きな特徴は、国の対策ではかかりつけ医としている受診勧奨先に「CKD対策協力医」を置いている点です。CKD対策協力医は、CKDを理解しているかかりつけ医として患者と腎臓専門医との架け橋としての役割も担います。千葉県の人口は全国で6番目に多いですが腎臓専門医の対人口比は下から5番目です。専門医が少ない千葉県において、全体にあまねくCKD診療を届ける体制の要となるのがCKD対策協力医なのです。糖尿病連携医という登録医制度の下で連携が進んでいる市原市などが、県内における先進事例に該当します。
 もう1つ、多職種連携の観点から「CKDシール」を導入しました。これは千葉県では船橋市や松戸市が先行していたツールで、腎機能の程度に応じて2種類のシールをお渡しし、お薬手帳に貼付してもらう仕組みです。お薬手帳を連携ツールとすることで、薬剤師による腎機能への影響を考慮した薬物療法の管理などの効力発揮が期待できます。
 昨今のコロナ禍の影響はあるものの、このように対策の基盤を構築し、順次、始動しつつある状況です。

図1:千葉県CKD重症化対策の骨子

図1:千葉県CKD重症化対策の骨子

今澤俊之先生提供

― 医師会の協力が大きいとのことですね。対策の必要性についてどのように捉えていますか。
日比野先生 私は千葉県医師会の学術担当を務めており、CKD対策には2つの側面からの啓発が必要と考えています。
 1つは、CKDという言葉が一般の人々に浸透していない点です。成人の8人に1人がCKDと推計されるほど大変なcommon diseaseであるにもかかわらず、患者自身すらあまりピンときていない病気なのです。つまり、患者への啓発が必要です。
 もう1つは医師側への啓発です。蛋白尿や腎機能低下が指摘された健診結果を持参しても、「たいしたことない、様子を見よう」と言われてしまうケースが多いのです。そのため、県医師会会員への教育を行う必要があります。千葉県は人口が多いのに人口当たりの腎臓専門医数が少ないことに鑑みると、かかりつけ医の力量が重要です。私自身、CKDについて勉強を深めていく中、ますます啓発の必要性を実感しています。
 私の専門は眼科なのですが、昔から「眼は腎臓の鏡」と言われるように、網膜症は糖尿病や腎症などの内科疾患と深く関連しています。眼科は受診しても内科を受診していない患者もいるので、私のところで採血などの検査を行い、しかるべき診療科に紹介しています。CKD患者は診療科を問わず来院しますから、他科の医師も積極的にCKD診療に関わる意義は大きいと思っています。

千葉県CKD対策の鍵は患者と腎臓専門医の架け橋となる「CKD対策協力医」

― 対策の鍵を握るのがCKD対策協力医とのことですが、今一度、協力医について深掘りしてお話を伺えますか。
今澤先生 CKD対策協力医の登録要件については千葉県医師会の会員医師であることとし、専門科は不問としました。今考えてみると、それが功を奏したのかなと思います。眼科医である日比野先生がCKD 対策の重要性を認識してくださったのを契機に、眼科のコミュニティーでCKDが話題に上る機会が増え関心を持ってもらえれば、対策の広がりが期待できます。CKDは加齢に伴う疾患なので、例えば高齢者が多く受診する整形外科の先生など、あらゆる診療科の医師が協力医になっていただけると、処方薬の腎機能への影響に意識が及ぶなど、横断的に腎機能を意識した診療が広がり、対策の実効性が向上するかもしれません。
― CKD対策協力医は診療科を問わないのがよいのではないかとのお話でした。では、CKD対策協力医数はどのくらい必要とお考えでしょうか。
淺沼先生 やはり地域によって必要数は異なると思います。都心に近い地域では腎臓専門医が在籍する医療施設も多いので、直接腎臓専門医を受診しても差し支えないのかもしれません。しかし、千葉県の場合は腎臓専門医が不在の地域が多いので、不在地域ではCKD対策協力医が多い方がよいですね。具体的な数値目標は、今後の稼働状況を見ながら検討することになるのではないでしょうか。
 また、専門分野については多様でよいと思います。CKDの進展には生活習慣病が深く関与するので、それぞれの専門性を生かしてCKD対策に取り組む点も重要です。CKDの知識が加わることで、診療の質も高まると期待できます。
 千葉県は腎臓専門医が少なく、腎臓専門医の不在地域が多いので、専門医が診る機会のないまま透析導入に至る患者が少なくないのが課題です。CKD対策協力医には、透析に至らないためにどうすべきかをCKD対策から学び、透析導入直前ではなく、なるべく早期に腎臓専門医に紹介して、CKD患者と腎臓専門医の架け橋になっていただければと考えています。
寺脇先生 CKD対策協力医の役割は腎臓専門医に紹介するためのゲートキーパーであると考えると、人口1万人当たり最低1人程度は必要であり、腎臓専門医に送るべき患者と糖尿病や高尿酸血症、高血圧といった生活習慣病を管理すべき患者に分けてフォローアップしていただくのが効率的ではないかと思います。一方、CKD対策協力医への登録をきっかけにCKDを身近な問題として捉える、例えば整形外科であればビタミンD製剤の処方時に腎機能への影響を考慮するなど腎保護の視点を養ってもらう観点からは、CKD対策を意識する仲間は多ければ多いほどよいことになります。それこそ、臨床医のおよそ半数が協力医になってもよいのではないかと思いますね。
日比野先生 現在、CKD対策協力医の登録者は188名ですが、専門科を回答いただいたのは60名弱で、大半が透析、糖尿病、循環器であり、その他は主に一般内科でした。訪問診療を手がけている先生もいらっしゃいます。専門が未回答の先生もいて、現状はまだ多岐にわたるとまではいえませんが、循環器専門医が多いのは心強い点です。
― 協力医の募集を始めた際の反応はいかがでしたか。
日比野先生 CKDに関連する専門科の医師はおそらく応募いただけるでしょうが、どのくらい手上げしてくれるか、初めはとても心配でした。しかし、現時点で200名近い方に応じていただいたことから、今にしてみれば、CKDに関心が高い医師は少なくなかったと分かります。実際、各地区の医師会長が集まる会議で今澤先生からCKD対策について説明していただいたところ、皆さん非常に感銘を受け、とても大事な取り組みだとのご意見をいただきました。
 協力医の応募に際しては、本日ご参加の3人の腎臓専門医による講演に加え、入江会長のご挨拶と私からのイントロダクションの動画5本をウェブ上で視聴し勉強していただく形式としました。視聴後、県医師会会員であり、腎臓専門医への紹介およびCKDシールの活用といった協力医の業務を承諾された方に、登録証を発行するという方法を取りました。当初は2021年2月末日を期日にしていたのですが、以降も問い合わせがあるなど登録医が増えているので、2024年3月末までの継続を考えています。
 腎臓専門医不在の地方自治体担当者から「近隣に協力医がいないのでぜひ」との依頼を受け、名乗り出ていただいた方もいらっしゃいます。このように、行政も含めたワンチームであることが千葉県の強みです。

あなたを皆で守ります!
CKDシールは「守り札」

― 腎機能の程度を可視化することで多職種協働に寄与する情報共有ツールとして、CKDシールを作成されました。CKDシールがもたらしたメリットなど、手応えをお聞かせください。
今澤先生 CKDシールは2020年末から試験運用を開始しており、薬剤師会やCKD対策協力医に配布しています。私が感じている手応えとしては、患者がお薬手帳を持参するようになり、連携ツールとしての効力を発揮していることです。
寺脇先生 市原医療圏ではCKDシールを2021年8月から一斉に全調剤薬局と全関連病院で配布し運用を始めています。当初は、スティグマ1)の助長につながるのでは、レッテル貼りとして拒まれるのではと危惧する声もあったのですが、むしろ患者はCKDシールによって守られているというポジティブなイメージを抱いてくださるのが印象的でした。CKDシールの配布と貼付に当たる医療関係者には、患者への説明について、皆であなたを守る「お札」であるとの内容を共通認識にしていただいています。
淺沼先生 私の病院でも、「このシールによってあなたの腎機能の情報を皆が知ることができますから、今後、あなたを守ってくれます」と説明しているので、拒否する方はいらっしゃいません。CKDシールは薬剤性腎障害を減らすことも目的の1つですが、CKD患者自身やご家族に病識を持ってもらえる利点が大きいと思っています。CKDの進行抑制には、生活習慣病の予防や対策が非常に大切だからです。そのような点からも、CKDシールはよいツールになると考えています。
 一方、まさに今日の診察時に、医療者側の課題に気付かされました。患者とご家族は腎機能が悪いことを理解しているのですが、たまたまけがをして腎臓専門医がいない病院を受診し処方された抗菌薬の過量投与が、病院でも調剤薬局でも見逃されてしまったのです。医療者がシールに気付かないことがあるので、もっと認知度を上げねばならないと感じました。

CKD対策は患者のため
多職種連携が進めばより幅広い対策に

― 健診結果に基づく受診勧奨が進むと、今後、紹介-逆紹介が活性化されますが、その点についてはいかがでしょうか。
淺沼先生 紹介患者は徐々に増えてきています。これまで専門医不在の地域では紹介先がなかったので、今後も増えると思われます。私が講演会で早期からの専門医への紹介を促すべく紹介基準についてお話しすると、腎臓専門医がいる病院の外来がパンクしてしまうのでは、本当によいのですかと質問されることが多いのです。しかし、そうした懸念は考えず、まず送っていただき、専門医とのキャッチボールの中でCKDについて学んでいただければと考えています。われわれも多数の患者が紹介されてくると覚悟していますので、むしろ、迷ったら送っていただくことを期待しています。
今澤先生 そうですね。腎疾患の重症化を防ぐのが目的ですから、まずはハードルを低く設定して、迷ったら送っていただくことから始めていきたいです。CKD対策協力医のリストとともに、一連の取り組みに賛同する日本腎臓学会認定の腎臓専門医のリストも県庁のホームページに掲載しています。
寺脇先生 市原医療圏では2018年から糖尿病登録医制度を始動しており、当初は二人主治医制のような仕組みで行っていました。しかし、外来がパンクしそうになったため、検査結果や治療方針の伝達といったレポートベースで連携できる大部分の患者は逆紹介でお返しして、一部の患者について二人主治医制を取っています。当初は大変ですが、うまく回り始めれば地域の連携医との協力によりスムーズな診療体制が図れるようになってきました。
― CKD対策協力医からのご意見はいかがでしょうか。
日比野先生 「CKD対策協力医になるメリットは何か?」と質問された方がいらっしゃいました。きちんとCKD対策協力医としての仕事を果たし、この先生ならお任せできると専門医からお墨付きをいただければ受診患者も増加し、win-winの関係ができると思うのです。CKDシールにしても、これから始まるという段階で「忙しい外来で対応できるわけがない」とおっしゃった方がいましたが、悪いレッテルを貼るのではなく、これから一緒に頑張りましょう、シールの色を赤から緑に変えていきましょうなど、前向きな姿勢を患者と共有することは、かかりつけ医として診療に当たる上で大切だと思うのです。CKD対策協力医になるメリットは、患者のメリットを考えれば自ずと理解できると私は思います。
― 先進事例である市原市では、今後への期待や課題点など見えてきたものがあるかと思います。市原市における連携の状況と手応えについて、ご紹介いただけますか。
寺脇先生 市原医療圏では、幸運にも糖尿病性腎症やCKDに多職種で対応する体制づくりが早期から可能でした。その理由は、帝京平成大学教授の藤川眞理子先生が市原保健所の所長を務められていた2018年に発足した、市原圏域糖尿病性腎症重症化予防対策推進協議会にあります。当初は糖尿病専門医である藤川先生らと腎臓専門医である私がコアメンバーでしたが、医師会、薬剤師会、歯科医師会、栄養士会さらには保健所職員、国民健康保険課職員など、どんどん仲間を増やして1~2カ月ごとに会議を開催しています。その中で、糖尿病連携医制度、健診結果における早期腎症疑い例へのイエローカードの同梱、糖尿病連携カード、病院栄養士による栄養指導を地域の患者も受けられる仕組みである市原栄養指導ケアネットワークなど、さまざまなアイデアを形にし、今では糖尿病および腎合併症を中心に、広くCKD全体を視野に入れた活動を展開しています。
 糖尿病連携医制度は、事実上、千葉県全体でのCKD対策協力医制度と重なる取り組みなのですが、特定健診で指摘された患者は、かかりつけ医がない場合、連携医への受診を勧奨します。コロナ禍で進捗が遅れていますが、連携薬剤師制度や連携歯科医師制度も進めているところです。
 推算糸球体濾過量(eGFR)と尿蛋白の基準を満たしCKDが疑われた場合、大部分の方は、市原医療圏において複数名の腎臓専門医が属し、腎生検や透析導入が可能な唯一の施設である当院に紹介されます。連携医の認定以降の当院での診療状況は図2の通りで、診療件数が実に3倍に増加、それに伴い透析患者数も増加しています。これはすなわち、未治療の末期腎不全や尿毒症患者を治療につなげられたことを意味しますし、心血管死、腎関連死を防ぎえる状況がうかがえます。
 糖尿病連携医の皆さんには、講習会を開催した際にCKD対策協力医募集の動画視聴を行い、全員、登録していただきました。

図2:帝京大学ちば総合医療センターにおける腎臓関連の診療状況

図2:帝京大学ちば総合医療センターにおける腎臓関連の診療状況

寺脇博之先生提供

千葉県CKD対策の将来像
全域にあまねく、幅広く、より深く

― 予防と治療の両面からの期待が持てるお話でした。
それでは、最後に今後のさらなる課題と目標についてお伺いします。
淺沼先生 課題を2つ挙げます。1つは、今後、健診結果に基づく受診勧奨が始まり、腎臓専門医への紹介が活発になる中で、現状の紹介-逆紹介のシステムでは連携がかなり煩雑になることが想定されます。二人主治医制やレポートベースの連携などどのような仕組みが最適か、千葉県独自のシステムを構築すべきかなどを検討する必要が生じると思われます。
 もう1つは、腎臓内科の受診時には栄養指導や生活指導を行いますが、その後の日常的な継続が難しい点です。今後は、かかりつけ医の下でも栄養指導や生活指導が確実に行えるシステムが必要です。
 そして、千葉県における透析導入の原因疾患の第3位が「不明」である点は、腎臓専門医としては看過しがたい事態です。まずはこれを減らすことが目標です。
寺脇先生 腎機能低下の抑制、合併症の回避、尿毒症死の回避がCKD対策の目的ではありますが、「寛容かつ適切な医療の提供」と「患者の生活と命を守ること」という最も根源的なポイントを、ここであらためて強調したいと思います。「透析=悪・恥ずべきこと」と誤解されてしまうのは本末転倒であり、タイムリーな透析導入も重要な治療法の1つです。予防できるところは予防し、必要なところでは透析を導入する寛容かつ適切な医療の提供により、患者の生活と命を守る。この認識を共有することで、全ての方に受け入れられる取り組みとなり、千葉県のCKD対策はうまくいくと期待しています。
日比野先生 CKD対策の真髄をお2人からお話しいただきました。私の取り組みとしては、CKD対策協力医を増やす活動を続けていきたいと思います。腎臓専門医および対策協力医は、いまだ千葉県全域に満遍なく存在しているわけではありません(図3)。専門医が少ない地域に対しては、地区医師会長あるいは担当理事に働きかけて協力医を増やす方法も考えていきます。診療科を問わず、協力医としての活動を伝え多くの医師にCKD対策に関心を持っていただき、患者を適切なCKD診療につなげたいものです。
 なにより、CKDという言葉を誰もが知っているものにするよう、千葉県から発信して日本全国に広めていく、そうした姿勢で取り組むことがCKD対策には非常に重要だと思っております。
今澤先生 全県を挙げてのCKD対策の基盤はできましたが、住民への啓発はいまだ手付かずの状態なので、コロナ禍の動向を見極めつつ進めていきたいですし、CKD対策協力医の先生方にも協力してよかったと実感してもらえるよう取り組まねばなりません。
 今日は、先生方とお話をしていて元気が湧いてきました。CKD対策を講じるための機が熟していると実感します。千葉県のCKD対策は全域にあまねくというのが部会で掲げたキーワードでしたが、多職種に取り組みを広げることでより深く対策を根付かせることができると考えられます。今後、千葉県のCKD対策があまねく、幅広く、より深いものとなり、県民の健康寿命の延伸や幸せに寄与できればと願っています。

図3:千葉県における日本腎臓学会認定腎臓専門医数とCKD対策協力医数(市町村別、2021年10月時点)

図3:千葉県における日本腎臓学会認定腎臓専門医数とCKD対策協力医数(市町村別、2021年10月時点)

今澤俊之先生提供

【文献】
1)日本糖尿病学会編著. 糖尿病治療ガイド2020-2021. 文光堂, 2020; 32.

記事作成日:2021年12月

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