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座談会

糖尿病関連腎臓病における
Point of Care Testingによる迅速な
尿中アルブミン測定の意義と早期治療介入の重要性

※:ケレンディア錠の効能又は効果は「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。」

尿中アルブミン測定の現状

Key point

  • アルブミン尿は糖尿病関連腎臓病の進行を予測する重要な指標である
  • それにもかかわらず、尿蛋白・アルブミン定量検査が実施された糖尿病患者は19.4%(都道府県別範囲:10.8-31.6%、日本糖尿病学会認定教育施設としての認定有無別:18.7%対54.8%)であった
  • 患者さんに前向きな気持ちで治療に取り組んでもらうためには、目的と目標を明確にし、それに基づいた情報提供を継続することが重要
  • 患者資材をうまく活用することで、患者さんの疾患理解や治療意欲を向上させる

なぜ尿中アルブミン測定が必要なのか?

三浦 尿中アルブミン測定の現状の話に移る前に、まずはその必要性についてご解説をお願いします。

西浦 正常な状態では、腎臓の糸球体からわずかに漏れ出たアルブミンは、尿細管で再吸収されるため、尿中にはほとんど存在しません。しかし、アルブミンが原尿中に過剰に漏れ出ると、尿細管の再吸収能力を超えるため、尿細管に大きな負担がかかります。この状態において、尿細管は炎症誘発性サイトカインを産生することが知られており、その結果、尿細管障害、間質線維化が生じるとされています4)
 eGFRについては多くの先生方も意識して管理されていると思いますが、アルブミン尿をより早い段階で見つけ、早期治療介入により腎臓の損傷と、eGFRの低下を未然に防ぐことが期待されます。尿中アルブミン測定は、腎臓で起きている潜在的な問題を見出せる重要な検査項目の1つといえます。

尿中アルブミン測定の検査実施率の現状は?

三浦 レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を使用し、2015年4月から2016年3月までに糖尿病薬の定期処方を受けていた外来患者約415万人を対象とした観察研究が実施されました5)
 そのうち、尿検査が包括算定されている可能性の低い200床未満の病院と診療所で外来診療を受けた患者約240万人における尿検査実施率が検討されました。その結果、尿定性検査を受けたのは67.3%(都道府県別範囲:54.1-81.9%、日本糖尿病学会認定教育施設としての認定有無別:66.8%対92.8%)、尿蛋白またはアルブミンの定量検査を受けたのは19.4%(都道府県別範囲:10.8-31.6%、日本糖尿病学会認定教育施設としての認定有無別:18.7%対54.8%)でした(表1)。

田中 翔 先生

田中 翔 先生

田中 尿蛋白・アルブミンの定量検査が進まない理由としては、①院内の採尿設備の有無、②スタッフの業務負担に関する懸念、③患者さんの健康リテラシー不足、④保険審査の問題(レセプト単価上昇の懸念)の4点が考えられます。
 まず、採尿設備についてですが、都市部ではビルの中にクリニックが入っていることが多く、自院のトイレがないことも少なくありません。

西浦 都市部ではそういった問題が出てくるのですね。たしかにトイレが他の施設と共有になっていると採尿も難しくなりますね。

西浦 亮介 先生

西浦 亮介 先生

田中 自院にトイレがない施設では、自宅での採尿が有効です。蓋付きの容器に採尿していただければ、尿中のアルブミンとクレアチニンは、室温保管でも数時間程度であれば安定性に大きな影響はありません6)7)。事前にスピッツ管を患者さんに渡し、自宅で採尿してから受診してもらうことで、検査が可能です。
 また、院内のスタッフにも配慮が必要です。尿定性検査では、尿試験紙を用いて目視で結果を確認する手間や、尿を扱うことを嫌がるスタッフも多いと思います。一方、尿中アルブミン測定の外注であればスピッツ管を検査会社に出すだけで、簡単かつ汚染のリスクも最小限です。しかし、このことを知らない施設も多いため、現状の検査実施率の低さにつながっているのではないでしょうか。

西浦 開業医の先生方のところには、ご自身の専門を問わず、糖尿病の患者さんが来ることもありますから、より多くの先生方に尿中アルブミン測定の意義について知っていただきたいです。

田中 患者さんの健康リテラシーを高めていくことも大事だと思います。患者さんから、「私のアルブミン尿はどれくらいですか?」などと医師に尋ねるような世の中になれば良いかもしれませんね。

糖尿病患者における年1回以上の検査実施割合(糖尿病診療の質指標)

Sugiyama T, et al. Diabetes Res Clin Pract. 2019 : 155 : 107750.より抜粋

患者さんの行動変容を促すためのアプローチ

三浦 尿中アルブミン測定を普及させるためには、その測定の必要性を患者さんに理解してもらうことが重要です。尿中アルブミン測定について、患者さんに説明する際のポイントを教えてください。

田中 心血管イベントや腎イベントのリスクは、ある段階で急激に増加するものではなく、基本的にはUACRの増加に伴って徐々に高まっていく2)ことを理解していただくため、私は水道管のたとえ話を使って説明しています。「もし家で水漏れが起こったらどうしますか?少量だったとしても気づいた時点ですぐに止めますよね。あなたも尿中に正常であれば見られないはずのアルブミンという蛋白が漏れ出し始めました。これは腎臓の緊急事態なのですぐに治療をしたほうが良いですよ」と話しています。
 "microalbuminuria”の訳語として「微量アルブミン尿」という言葉が使われていますが、「微量」という言葉が原因で、少しなら問題ないだろうと誤解されがちです。しかし、微量アルブミン尿は、腎臓の障害が進行し、腎臓の生理的な機能が破綻した結果、アルブミンが尿中に少量ずつ漏れ出す病態です。これを理解していただくことが重要です。

三浦 ありがとうございます。検査で問題が見つかれば治療介入することになりますが、患者さんに前向きな気持ちで治療に取り組んでもらうために重要なことはありますか?

田中 治療の目標を設定し、それに向けて治療を進めるにあたり、目的と手段の混同が問題となることがあります。本来、糖尿病治療の目的は糖尿病関連腎臓病など合併症の進行予防のはずですが、あくまで手段であるはずのHbAlcの数値を下げること自体が目的と誤解されることがあります。患者さんは「HbAlcが下がってさえいれば大丈夫」と考えがちですが、UACRの増加やeGFRの低下が抑えられない場合には、治療の見直しが必要です。このような課題に対処するためには、目的と目標を明確にし、UACRやeGFRなどの腎臓関連指標を含めた情報提供を継続的に行うことで、医師と患者さん双方の治療に対する認識を一致させることが重要です。
 また、「20年後に透析にならないようにしましょう」と遠い未来の話をしても患者さんには実感が湧きにくいですが、糖尿病関連腎臓病の典型的な臨床経過と患者さん自身の今現在までのUACRの経過を時系列に沿って丁寧に説明し、これからUACRを増加させないためにどうすれば良いかを相談すると、多くの方は興味を持ってくれます。

三浦 UACRの測定にあたっては、患者さんに年1回は定期的に測定することと、30mg/gCr以上だと腎臓に障害があることを伝えています。そのうえで、例えば検査値が140mg/gCrであることを伝えると、そのギャップに驚き、治療に対する関心を持っていただけます。このような患者さんの心理を利用しながら、腎臓の状態について理解を深めていただくことも大切だと思います。

西浦 私は測定結果を患者さんに伝える際、図1の資材を使っています。この資材は、典型的な臨床経過のグラフに加えて疾患解説や治療の流れなどの情報も網羅されているので、内容を患者さんと一緒に確認しながら説明し、尿中アルブミンやeGFRなどの検査値を記入したうえでお渡ししています。

三浦 患者さんがご自宅に戻られた後も、ご自身の検査結果とグラフを照らし合わせながら再度見直すことができるので良いですね。このような資材をうまく活用することが、息者さんの疾患理解や治療意欲の向上にもつながると思います。

詳しく知ろう!ケレンディアR錠を服用される方へ 2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(CKD)

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