慢性腎臓病

すべては、慢性腎臓病患者さんのために

<医療関係者向け>

バイエル医療関係者向け総合サイト

MLSとWEB面談を設定頂く為の
新しいデジタルサービスです

確かな品質で、患者さんを支えたい。

この研究から透析医療の明日が生まれます。

<一般向け>

慢性腎臓病に関する情報総合サイト

タンパク尿を診る

尿タンパク検査には、尿タンパク定性検査と定量検査の2つがあります。尿試験紙を使って調べる尿タンパク定性検査は、簡便で安価なことから、特定健診をはじめ多くの健診で活用されています。

尿試験紙法でも末期腎不全のリスクがわかる!

尿試験紙による定性検査でタンパク尿が2+以上であれば、末期腎不全(ESRD)となるリスクが高くなります

タンパク尿が末期腎不全の危険因子であることは、多くの研究で示されています1-4)。タンパク尿、アルブミン尿は腎機能の低下と強い相関を持っており、その程度が増すごとに腎機能の低下リスクが高くなることを示したランダム化研究やそのサブ解析も数多く報告されています1,5)
住民健診データによる研究からも、尿タンパク定性検査が2+以上であれば、ESRDのリスクが高くなることも示されており(図13)、定性検査からESRDのリスクが予測できることが示唆されています。

図1 長期観察研究におけるタンパク尿と末期腎不全リスク3)

図1 長期観察研究におけるタンパク尿と末期腎不全リスク

目的:尿試験紙法によるタンパク尿の度合いが、ESRD進行に与える臨床的影響を検討する。
対象:沖縄県における1983年4月から1年間の住民健診記録から抽出した106,177例(男性50,584例、女性55,593例、年齢20~98歳)。
方法:住民健診データと沖縄透析研究(OKIDS)のデータを照合し、2000年までのESRD発症患者を同定。多変量ロジスティック解析により、タンパク尿および血尿とESRD発症リスクとの関連を解析した。

Reprinted from Kidney Int., 63, Iseki K et al, Proteinuria and the risk of developing end-stage renal disease, 1468-1474., Copyright 2003, with permission from Elsevier.

試験紙法とCKD重症度区分の対応

尿試験紙検査の結果から、慢性腎臓病(CKD)の重症度をある程度予測することができます

現在、国内で販売されている尿タンパク試験紙は、製品によりタンパク濃度の基準値は一部異なっていますが、尿タンパク量30mg/dLで(1+)、100 mg/dLで(2+)という基準だけは統一されています6)
なお、尿タンパク定性検査結果をCKDの重症度分類に活用する際には、重症度A1を試験紙法(−)と(±)、A2を(1+)、A3を(2+)以上として対応させます。健診の場などでは、こうした便宜上の区分により重症化予防の対象者を明らかにすることは非常に有用です6,7)

表 尿試験紙法の判定基準(例)

表 尿試験紙法の判定基準(例)

※販売する製品によりタンパク濃度の基準値は異なる8)
8)日本臨床検査標準協議会会誌.2001; 16(2): 33-44.

正確なCKD重症度を知るには、尿タンパク定量検査が大切!

尿タンパク定性検査だけでなく、尿タンパク定量検査の実施が大切です

尿タンパク定性検査はその利便性から、健診においてESRDのリスク予測やCKD重症度の目安として用いられていることは前述した通りです。しかし実際には、CKD重症度分類のA2区分であっても、試験紙法では(-)または(±)となる場合があることがわかっています(図29)。これは、尿試験紙法は、尿の濃縮状態によってばらつきがあるため、必ずしも正確な尿タンパク量を反映するとは限らないことが原因であると考えられます。

図2 CKDタンパク尿ステージと尿試験紙法タンパク定性との関連9)

図2 CKDタンパク尿ステージと尿試験紙法タンパク定性との関連

目的:一般住民においてCKDタンパク尿ステージと試験紙法定性との関連、タンパク尿とアルブミン尿の相関を検討する。
対象:茨城県の健診受診者1,584例(男性821例、女性763例、平均年齢59.8±9.4歳)。
方法:試験紙法による定性〔(-)または(±)、(+)、(2+)以上〕をタンパク尿レベルによる3群(D1~D3)に分類し、アルブミン尿/クレアチニン値で分類した3群(A1:<30mg/g・cre、A2:30~300 mg/g・cre、A3:>300 mg/g・cre)との対応を検討した。

9)Nagai K and Yamagata K. Clin Exp Nephrol. 2015; 19(1): 152-153.

したがって、二次検査では、尿タンパクおよび尿中クレアチニンの定量検査による尿タンパク/クレアチニン比(g/gCr)の評価を行うことが望まれます。また、他に危険因子がある患者では、尿タンパクの定性検査で(±)であっても精査が必要です6)

診ていくポイント

  • 尿タンパク定性も末期腎不全の予測因子だが、尿タンパクの定量検査を行うことが大切
  • 尿タンパクの定性検査で(±)でも、危険因子があれば精査が必要
  • 定期的な尿検査の実施が重要

References:
1. Chronic Kidney Disease Prognosis Consortium, et al. Lancet. 2010; 375(9731): 2073‒2081. 2. Tonelli M, et al. Kidney Int. 2011; 80(12): 1306‒1314. 3. Iseki K, et al. Kidney Int. 2003; 63(4): 1468-1474. 4. Imai E, et al. Hypertens Res. 2008; 31(3): 433-441. 5. Hallan SI, et al. JAMA. 2012; 308(22): 2349‒2360. 6. 日本腎臓学会編. 生活習慣病からの新規透析導入患者の減少に向けた提言 ~CKD(慢性腎臓病)の発症予防・早期発見・重症化予防~. 2016年. 東京医学社 7. 日本腎臓学会編. CKD診療ガイド2012. 東京医学社 8. 日本臨床検査標準協議会会誌.2001; 16(2): 33-44. 9. Nagai K and Yamagata K. Clin Exp Nephrol. 2015; 19(1): 152-153.

<医療関係者向け>

バイエル医療関係者向け総合サイト

<医療関係者向け>

MLSとWEB面談を設定頂く為の
新しいデジタルサービスです

<医療関係者向け>

確かな品質で、患者さんを支えたい。

<医療関係者向け>

この研究から透析医療の明日が生まれます。

<一般向け>

慢性腎臓病に関する情報総合サイト