それぞれの地域が特性に応じて構築
岡山県のCKD・CVD医療連携
国立大学法人 岡山大学
学術研究院医歯薬学域
CKD・CVD地域連携包括医療学
教授
内田 治仁 先生
一般財団法人 津山慈風会
津山中央記念病院
内科主任部長
透析センター長
堀家 英之 先生
岡山市では2007年、かかりつけ医と腎臓専門医とのCKD医療連携ネットワーク、「OCKD-NET(Okayama city CKD Network)」 がスタート。活動は行政へとつながり、さらに県の各エリアではそれぞれの地域特性に応じた医療連携ネットワークが立ち上がっています。
今回はその4つのネットワークのうち、岡山市のOCKD-NETと、県北地域を中心とした「MCKD-NET(Mimasaka CKD Network)」の活動について、それぞれの運営に携わっている先生からご紹介いただくとともに、医療連携を円滑に進めるポイントなどについてもお話を伺いました。
地域から県全体へ
取り組みは一歩ずつ着実に前進
― 岡山県では、「岡山県CKD・CVD対策専門会議」が中心となってCKDの重症化予防に取り組んでいますね。
内田先生 はい。2012年、第2次地域医療再生計画 糖尿病等生活習慣病医療連携推進事業において、岡山県生活習慣病対策推進会議 CKD・CVD対策専門部会が発足しました。2016年に事業再編が行われて部会は岡山県CKD・CVD対策専門会議となり、行政、医師会、看護協会、栄養士会、薬剤師会などが協力し、CKD・CVD医療連携体制の構築、県民への普及・啓発を推進しています(図1)。
図1 ■ 岡山県のCKD・CVD医療連携の取り組み
住民や患者さんを中心に、行政、医師会、腎臓専門基幹病院などが一体となり、多職種とともに活動を推進する。
― 名称にCKD(慢性腎臓病)とともにCVD(心血管疾患)が入っているのは珍しいのではないでしょうか。
内田先生 そうですね。これは岡山県のCKD対策のキーとなる部分でもあります。CKDの患者さんは、重症化する前であってもCVDのイベント発生やそれによる死亡リスクが高まることや、心臓と腎臓が深く関係していることがここ10~15年で明らかになってきました。つまり、CKDの重症予防には同時にCVDの予防が含まれていると言えるわけです。日ごろから岡山県の腎臓専門医はこういった意識が高いことから、新規透析導入の減少と、CKDに伴うCVD合併およびCVDによる死亡の減少を目指し、名称で明言しました。
― 岡山県のCKD・CVD対策の活動の背景や経緯などについて教えてください。
内田先生 岡山県の人口は現在約188万人ですが、地域によって偏りがあります。“県北”には中国山地があり、広域にもかかわらず人口も腎臓専門医も少ないエリアがある一方、岡山市や倉敷市がある“県南”は、新幹線も通っていて交通の便もよく、人口や腎臓専門医も県北より多いエリアです。
こういった、人口、腎臓専門基幹病院、腎臓専門医の地域偏在がある中で、まず、2007年に岡山市でCKDの医療連携体制としてOCKD-NETが立ち上がり、同時にCKDに関する普及・啓発活動が始まります。その後、冒頭でお話しした岡山県CKD・CVD対策専門会議が開設され、行政主体の特定健診フォローアップ事業、メディカルスタッフの人材育成などへ取り組みが拡がりました。現在も新たな活動を進める中で、リーフレットや冊子などの活動支援ツールも充実し、県内各地で活用されています。
このように、岡山県のCKD・CVD対策は地域から県全体へと、一歩ずつ一歩ずつ進んできました。
こういった、人口、腎臓専門基幹病院、腎臓専門医の地域偏在がある中で、まず、2007年に岡山市でCKDの医療連携体制としてOCKD-NETが立ち上がり、同時にCKDに関する普及・啓発活動が始まります。その後、冒頭でお話しした岡山県CKD・CVD対策専門会議が開設され、行政主体の特定健診フォローアップ事業、メディカルスタッフの人材育成などへ取り組みが拡がりました。現在も新たな活動を進める中で、リーフレットや冊子などの活動支援ツールも充実し、県内各地で活用されています。
このように、岡山県のCKD・CVD対策は地域から県全体へと、一歩ずつ一歩ずつ進んできました。
記事作成日:2021年6月